ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)ゾウリムシ   更新情報 お問い合わせ
 

よくあるご質問

Q. 細胞の生死は、どのように確認するのですか。
A. ゾウリムシの生死の確認は、虫眼鏡や実体顕微鏡で観察して、泳いでいるかどうかで確認します。 生きていれば、各細胞はランダムな方向に泳いでいます。死んでいれば、沈殿するか、またはゴミのよ うに水の流れに従って同じ方向に浮遊します。泳いでいない細胞の生死を確認する際には、スライド ガラスに細胞を含む水滴を置き、カバーガラスをかけて顕微鏡で観察します。生きていれば、2個の収 縮胞が交互に開閉します。死んだ細胞の収縮胞は開きっぱなしになっています。

Q. 配達されたゾウリムシ株が弱っていました。どうしたら良いですか?
A. ゾウリムシ株のコンディションには常に気を配って発送しておりますが、夏場など、配達の状 況によっては、お届けするまでに株が弱ってしまうことも少なからずあります。また、正常に配達さ れてもすぐに開封せずに、暫く放置されていたために、株が弱ってしまうということもあるかもしれ ません。 従って、NBRP ゾウリムシでは、お受け取り後少なくとも、1〜2日以内に必ず細胞生死の確認をお 願いしております。 メールでご連絡を頂いていた場合には、ご相談に応じております。細胞の様子を見られた後でも状 態が改善されない場合には、無償にて再発送をさせて頂いておりますので、ご安心下さい。 ご連絡がなく、数日後に不具合が生じた場合には、責任を負いかねますので、ご注意下さい。

Q. ミドリゾウリムシの培養に最適な照度を教えてください。
A. クロレラが光合成することができるように 2000〜2500 ルックス程度の光(蛍光灯の近くか窓際) で培養して下さい。光が強すぎるとダメです。紫外線には弱いので、直射日光などにはご注意下さい。

Q. 順調に増えたときのゾウリムシの個体数を数える良い方法はありますか?血球計算板を購入した のですが、動きが早くて難しそうです。
A. 血球計算板は使用しません。
ゾウリムシの細胞密の調整法をご説明します。
1.遠心や濾過で濃縮した細胞浮遊液を撹拌して容器内での細胞密度を均一にします。
2.1液の 100 または 200μL を、1mLのメスピペットなどでとり、プラスチックシャーレ上に、 水滴として分けます。
3.各水滴には生きたゾウリムシが泳いでいますが、各水滴に適当な固定液(飽和ピクリン酸など) を1滴加えると細胞が固定されます。
4.実体顕微鏡(無ければムシメガネも可)を使って、各水滴の全細胞数を数えます。サンプリング エラーを防ぐため、1-4を3回行い、平均値を出します。毎回、撹拌する必要があります。
5.200μL の細胞数の平均値が a なら、細胞密度は 5 x a cells/mL になります。
6.5の細胞密度から細胞浮遊液を希釈して、必要な細胞密度に調整します。

Q. 培養液の交換時期を教えてください。
A. 溶液が透明になりましたら、飢餓状態になりますので、培養液を加えます。細胞の増え具合を見 て、18 x 180 mm の試験管を使用した場合は、適量(2〜10 ml)の培養液を加えます。 培養液の種類によっては、溶液が透明になりにくい場合もあります。

Q. ゾウリムシの酸素補給の為に、1日1回、容器をシェイクした方が良いのでしょうか?
A. 容器内のゾウリムシを均一に分散させる意味では、1日1回程度揺するのはいいことだと思いま す。ゾウリムシは負の走地性を示して培養液の上部の細胞密度が高くなります。シェイクによって、均 一に分散させ、容器の下のエサを消費させやすくさせることができます。しかし、ゾウリムシは連続震盪培養をきらいますのでご注意ください。

Q. 培養液はどんなものがいいですか。
A. 培養液にはいろいろなものが使われていますが、NBRP ゾウリムシでは、レタスジュース培養液を 使用しています。この培養液は、細胞を同調して飢餓状態にさせることが容易なので、接合を誘導す る実験や食細胞活動の観察及び細胞内共生の誘導に適し、大量培養にも適しています。原液を作成し て保存しておけば、希釈してオートクレーブで滅菌するだけですので、安価に短時間で作成可能で す。作成方法の詳細が必要な場合には、NBRPゾウリムシ事務局にご連絡ください。
 他の培養液としては、完全合成培地培養液、ワラの煮汁培養液、青汁培養液、赤エンドウ豆培養 液、クロロゴニウム培養液、酵母菌培養液、エビオス培養液、カロリーメイト培養液などがありま す。
 NBRPゾウリムシで使用しているレタスジュース培養液には、餌の細菌として、Klebsiella aerogenes(=Enterobacter aerogenes)の ATCC35028 株を加えています。この細菌は、ATCC などでは バイオセフティーレベル(BSL)が 1 です。しかし、日本細菌学会、NBRC、BIOBALLではBSL2 です。このように、機関によってBSL の判定が違いますので、ユーザーの所属機関の判定をご確認のうえ、適切に取り扱って下さい。
 レタスジュース培養液は、ゾウリムシの増殖に適しているだけでなく、培養を同調して飢餓状態にさせる ことができるので接合の誘導にも適しています。レタスジュース培養液の作成方法は下記を参照して 下さい。
藤島政博. 第6章 遺伝学的な実験法(原生動物の観察と実験法. 重中義信 監修. 共立出版. 1988 年)

Q. 容器内に見える沈殿物(ゾウリムシを除く)は何ですか?
A. 当研究室では培養液にレタスジュースを使用しておりますので、レタスの葉由来のカスが含まれ ています。 このカスは、培養に影響しません。